システムやロボットは、人の仕事を奪わない。


ロボットの発達が仕事を奪うわけでは無い

ICTが発達し、技術特異点を2045年に控えていると一部で言われ、「10年後にロボットが奪う仕事」が人気を博している。
もう人間が働かなくなると。

これに異を唱えたい。
ロボットが発達すれば、特定の仕事は代替されて無くなるだろう。
が、それと同時に、発達したロボットの製造及び、それをベースにした新しいサービスが創出される。
そこに雇用はあるではないか。

ロボットは無機質で最先端な存在という製品イメージが強すぎて、それに関わる人間もそうだと思いがちでは無いか。
システムやロボットの開発現場は、他の仕事と変わらず、そこで働く人々が暖かく、時に厳しくコミュニケーションをとって、作っている。
今ある幾つかの仕事がロボットに変わろうが、人間が人間らしく暖かく働く現場はそうたいして減らない。

ロボットが、人工知能の発達により、10年程度で近い将来に人間の仕事を代替するようになるかもしれないが、ロボットが自らロボットを設計し、人が介入せずにできあがるという未来、これはまだまだ先、30年程度必要であろうと思う。

スケールの大きい話の半分以上は「ただの期待」

だいたい、こういう話って期待が入り混じっていて、想像したほどすごいものはこなかったりする。
車が進化して浮くとか。
パソコンが翻訳してくれるとか。
お金の計算はシステムが全部やるとか。

そういうのがなかった時代は、理想でいろいろな夢が語られるが、実現されると、意外とそうでもなかった、結局のところ人間のサポートが必要なのねって事が多い。

理論的に10年ぐらいでロボットが独りでに仕事をするかもしれないが、エラーの対処やケツ拭きで、人間のサポートはゼロにならないだろう。
仕事を奪われるのが嫌なら、それを狙ってロボットのサポート、下請けをやればいい。
単純でエラーが少ない事象にたいするものが機械に取って代わられ、特殊な対応や結果の活用というところで、人が出てくるだろう。

いったい誰が不安視しているのか

結局のところ、30年以上先では、ロボットがあろうがなかろうが、今の仕事は衰退するし、新しい世代の世の中になっている。

だからロボットに奪われて仕事がなくなるなんて事はない。
あるとすれば、今の仕事に固執し、新たに生まれる仕事にシフト出来ない人間だろう。
そういう人間は、ロボットに関係なく、どうせ廃れる仕事に固執し、10-20年で使い捨てられる。

よって、「ロボットに代替されるから、仕事がなくなって悲しい/困る」ということは無い。
ただただ昔からも存在してきた、「変われない人間が使い捨てられる」スピードが加速し、その焦燥感の言い訳にロボットが使われているだけである。
「もう年だからダメだわー」と年齢のせいにしている老人と一緒。

システムが仕事を奪うということは、消えるのではなく、その開発者に受け継ぐということ

昔SEをやっていたころ、とあるサービスの紙管理の資料をシステムで電子化するプロジェクトを作っていた。
そのシステムが入る前は、紙帳票1枚1枚に、必要な処理の担当者名が書いてあって、大量に積まれた紙帳票を見て、担当者別に割り振って仕分けるだけのおじさんがいた。
で、私が作っていたシステムがそれを自動処理するものだった。
システムが担当者を自動判断し、その担当者本人のパソコンに通知するので、「紙帳票 割り当ておじさん」の仕事はなくなった。

システムが完成した頃、現場への説明会に出向き、「紙帳票 割り当ておじさん」に初めて対面した。
「俺はあと数年で退職なのに、このシステムで仕事がなくなる!どうしてくれるんだ!」とドヤされた。

このおじさん個人の問題ではそうかもしれないが、私たちSEの中には帳票割り当てのロジックが頭の中に出来上がり、それをドキュメント化してシステムとして実装されていった。
システムが取って代わって処理するが、それを作る開発の人間には、仕事の仕方や難しいところ、そこで働いていた人の考えが受け継がれている。

技術の発展は、仕事の要否を変える。

100年前に3万種類ほど日本には職種があったようだが、今は1万を切っているようだ。

その中には、システムや技術の発展によって不要になったり、形を変えたものがあるのだろう。
それらは消えてしまったのではなく、システム開発をする人間の中で、まだ生きているのかもしれない。

 

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映像作家コジロウ
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