姫路城ドローン事件 発生のメカニズム


今日は、姫路城ドローン墜落事件がなぜ発生したか、マルチコプターの仕組みを解説します。

事件は、姫路城で無許可にマルチコプターを飛ばして、操縦不能に陥り、城にヘリが衝突するというものです。
操縦者は40代の会社役員で、機体は姫路城管理事務所提供の写真からDJI社のPhantom3 proと思われます。
朝日新聞 : http://www.asahi.com/sp/articles/ASH9N6TPVH9NPIHB016.html
phantom3 : https://www.dji.com/ja/product/phantom-3

Facebookのマルチコプタークラブで会話された内容に基づき、墜落したメカニズムを紐解きます。

今回の事故は、
1.ヘリが操縦者から見て城の裏側に回り込む操縦をした
2.城に電波が遮られ、Gohomeモード起動
3.Gohomeの高さが足りず、帰還中に城に衝突
と言うのが予想されます。

【解説その1】Gohomeモードとは
Phantom始め、最近のマルチコプターが搭載している機能で、ヘリの飛行中にプロポからの電波が途切れるか、ヘリの電池が減るか、プロポから意図的にGohome指示をすると起動します。

マルチコプターは電源を入れてから飛べるようになるまで数十秒の初期処理が必要なのですが、この時に電源を入れた場所(ホームポイント)を記録しています。

Gohomeモードは、この記録されたホームポイントに自動で戻るモードです。

ホームポイントに戻るまでには、Phantomでは、デフォルト設定で以下の動きをします。
1.Gohome起動時、20m以下で飛行している場合は、一旦20mになるまで上昇します
2.20mまで上がったあと、ホームポイントに向かって一直線に水平移動します。
3.ホームポイント上空に到着後、自動で着陸します。

Gohomeの仕組み

Gohomeの仕組み

これが、Gohomeです。

電波が届かなくなってもロストを防いだり、見失ってもプロポからの指示で引き戻したり、電池切れで墜落するのを防ぐ機能です。

 

【解説その2】なぜ建物に突っ込んだのか
今回は、城をヘリで撮影していたようですが、その最中に城の裏側にヘリが回り込んで電波が遮断されたか、ヘリを見失ってGohome指示をしたことで、PhantomがGohomeモードになったと考えています。

Gohomeの仕組みで書きましたが、Gohomeでは、一旦20mまで上がってから一直線に帰還します。

これは「20m上がれば、ホームポイントまでに電線や建物が無いから衝突しないはず」と言う前提に立った設定です。

今回、20mを越す高さの「城」がヘリとホームポイントの間にあり、直線帰還しようとして、城に突っ込んだと予想されます。

姫路城は46mある城です。

Gohomeでの衝突

Gohomeでの衝突

 

【解説その3】どうすれば。
様々な観点の反省がある事件かと思います。
・電波が遮断されるような障害物の向こう側に飛ばさない
・見えない距離まで飛ばさない
・20mを超える建物などがある場所では、Gohome時の上昇高度を調整する(一旦あがる20mの高さは変更できます)
・許可のない場所で飛ばさない
・逃げない
などでしょうか。

【まとめ】
「ドローンでまた事件!」で終わらせるにはもったいないと思いましたので、マルチコプターの機能と設定に関する記事にしました。

今のGohomeでもなかなか考えられた機能です。

最近は、カメラや音波を用いて障害物との距離を測る機能が出てきました。

今後、さらに性能があがり、障害物回避もできるようになるでしょう。

 

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