【ノーベル賞2015】ニュートリノに質量、の解説


梶田さんがノーベル物理学賞を取りました。
「ニュートリノに質量がある」ことを証明した功績が認められたものです。
うれしいニュースなのですが、なかなか内容はピンと来ないものです。
今日は、超大雑把に書いてみたいと思います。

<最初に結論のまとめ:「梶田さんの研究って何?」>
・「消しゴムをちぎっていったら、最後は何になるか?」というクイズの答えを探している途中経過報告である。
・基礎研究結果であり、明日から役立つ研究結果ではないので「で、何に使えるの」の答えはまだまだ将来の事。
・偉い人たちが30年余り使ってきた常識のごく基本的な前提を覆しちゃった。
・やっぱ宇宙って謎だらけだわ

■素粒子研究:なんの研究?
ニュートリノとは何なのか。素粒子の1つです。

私が昔からわかりやすく理解できたのが、「雑誌ニュートン」に過去に載っていた表現。
素粒子研究とは、「消しゴムをちぎっていったら、最後は何になるか?」というクイズです。

それは、こんな話。
・机に置いてある消しゴム。
・これを半分に割る。
・割れた消しゴムは、半分の大きさ(質量)になるけれど、どちらもまだ消しゴム。
・これを何度も何度も繰り返していく。質量があるうちは、割れば半分にできるはず。
・ちぎってちぎってを繰り返していくと、小さくなりすぎて、そのうち消しゴムではなくなる。
・消しゴムは、小さいゴムになり、小さいゴムを割るとゴムを作っていた分子になり、分子を割ると原子になり、原子をもっと割っていくと・・・何になる?
・こうやって小さくしていくと、いつかは重さ(質量)がゼロになるはず。
・質量ゼロのものまで行けたら、物質の根幹のはずだから、いろんな研究に役立つはず!

こうして、物質の起源を調べるために、物を細かく小さくしていって、質量がゼロのものは何なのかを調べているのが素粒子研究です。
梶田さんの発表までは、上記のたとえ話で、消しゴムをどんどん小さくしていくと、いつかは質量が0のものにたどり着き、それが「ニュートリノ」という素粒子だと考えられていたのです。

それをベースにして、質量ゼロだから「光と同じスピードで飛べる」とか「他の物にぶつからないので影響を受けない」などの考えで「標準理論」というのができ、30年余り使われて、様々な研究が進められてきました。

しかし、梶田さんの発表によって、質量がゼロでないことが分かったので、これまで30年考えてきたことがやり直しになったのです。

■なんの役に立つのか?
ニュートリノに質量があることがわかっても、それが何に活用できるのか、まだわかりません。
基礎研究の功績であり、クイズの答えを出すための重要な手がかりが出たにすぎないからです。
これは梶田さんも会見でお話をされていて、基礎的な研究にノーベル賞が贈られたことに感謝の意を述べていました。
同時に受賞した大村さんの研究が、すぐに薬として病人を助けたことも影響しているのでしょう。

基礎的な研究結果にノーベル賞が認められたことは驚きですが、それと並列に「明日役に立たない研究結果は無意味」というのは乱暴です。
X線の発見や相対性理論だって、発表時はすぐに役に立つ物ではありませんでしたが、今ではレントゲンやGPSになって生活に欠かせないものになりました。

「物質の根幹を探る」研究ですから、いつか答えが出たとき、難病を解決したり、夢のようなコンピュータを作ったり、銀河間旅行に行けたりするかもしれません。

これからもワクワクしながら、研究が進むことを見守りたいですね。

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA