元に戻せない圧縮「不可逆圧縮」とは。


元に戻らない圧縮「不可逆圧縮」

「データを圧縮するとは」と言う解説記事の続編。
前回記事:http://fdsa-life.jp/blog/?p=3499

前回は、受け取った相手が元に戻せる「可逆圧縮」だったが、今回は、受け取った相手側で元に戻らない圧縮である「不可逆圧縮」の解説をする。

受け取った相手側で元に戻らないなんて、ダメじゃないか、と思っただろうか?
まぁ、読んでください(笑)

りんごを食べてもらうには

りんごを食べたいと言う相手に、りんごを渡す。

りんごを送って食べてもらう。

りんごを相手に渡して食べてもらう。

これには、「送る、剥く、食べる」という段階を経る。

送った後、相手が剥いて食べるパターン。

上図は、不可逆圧縮をしない普通のパターン。
りんごそのままを相手に送り、相手が自分で食べられる形にして、食べる。

まぁ、普通。

無駄な部分は捨ててから渡す不可逆圧縮

自分で剥いた後、送って食べるパターン。

続いて、こちらが不可逆圧縮のパターン。
送る前に、食べるのに不要な皮部分は剥いて捨ててから、食べる部分だけ相手に渡す。

捨ててから送る。

結局使わない無駄な部分は送らないので、送るときにりんごが軽くなる。

これが不可逆圧縮。
皮がある元のりんごの形には相手は戻せない。
元には戻せないけど、皮がなくても「りんごを食べる」と言う目的のためには、戻せなくても何ら困らない。

データ圧縮の世界では、例えば音楽のMP3では、人間の耳には聞こえない超高音は捨てている。
MP3に一度圧縮すると、超高音も記録されていた元のデータには戻せない。
でも容量は軽くなるし、どうせ聞こえない音なので、音楽を聞くと言う目的のためには何ら困らない。

聞こえない音のデータは捨てるMP3

元に戻らない分、可逆圧縮より大胆に捨てられるので、可逆圧縮より不可逆圧縮のほうが、圧縮率は高くなる傾向にある。
(ファイル容量を小さくできる)

捨てすぎの弊害

そんな不可逆圧縮だが、可逆圧縮に比べて圧縮率が高い分、デメリットがある。

デメリットその1:繰り返し劣化
不可逆圧縮は、圧縮するたびに捨てていくので、だんだんデータは減り、捨てた部分に相手が気づくぐらいになることがある。
画像に対する不可逆圧縮のJPEGなんかがそう。

何度もJPEGで保存していくと、だんだん写真がボロボロになる。

りんごの例で言えば、送るたびに表面を剥いちゃうので、そのうち食べるところが無くなってきて、相手が食べるという目的に支障が出てくる。

デメリットその2:捨てすぎ
相手が気づかない、どうせ使わないデータを捨てておく、と言うのが不可逆圧縮の考え方だが、失敗すると捨てすぎてしまって、ボロボロになることがある。

これは「圧縮率が高すぎる」なんて言う。

YoutubeなんかでMP4動画をみると、背景がボロボロっとブロックノイズが出る事がある。

背景が圧縮によりブロックノイズになってしまった例(https://youtu.be/6P4n2tL7YUI)(私が制作)

https://youtu.be/6P4n2tL7YUI

これはまさにMPEG圧縮の弊害。
背景があまり変化しない動画や、階調が変化しない場合、間のデータを捨てるタイプの圧縮なので、捨てすぎると、カクカクしたり、階調が失われたりする。

これもりんごの例で言うと、皮むきが下手くそで、剥きすぎて食べるところが減りすぎたって感じだろうか。
相手が気づいちゃう。

りんご剥きすぎ

ボロボロカクカクの動画を今後見たときは、汚いとイライラ、がっかりするのではなく、不器用な彼女がりんごを一生懸命剥いたけど、剥きすぎちゃったんだなと考えてはどうでしょうか。

 

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映像作家コジロウ
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