情報システム導入は幸せか?
「新しい情報システムを企業に導入する。」
どんなイメージがあるだろうか。
馴染みがないと何やら小難しい。
パソコンが好きなら、華々しく聞こえるかもしれない。
私は、12年前、SEになりたくてなった。
パソコンが好きで、システム導入に関わるのは憧れだった。
あの頃は、将来は絵を描くように最新技術を操り、システムでクライアントの会社を変えて、キラキラ輝くコンサルになるんだと思っていた。
新しい仕組み、新しいサービス。
便利になる暮らし。
情報システムは誰も傷つけない、華やかなものだと信じていた。
しかし、本当はシステム導入には違う側面がある。
情報システムの導入はリストラである
情報システムを入れるということは、ゆくゆくはリストラなのである。
何千万円〜数十億円をかけてシステムは導入される。
導入するからには、それ以上の効果が必要だ。
1億円かけて、2億円稼げるなら入れたほうがいい。
10億円かけて、5千万円しか売上が増えないなら入れないほうが良い。
そうやって、入れた場合と入れない場合の効果を比較して、儲けるほうを選ぶ。
単純な話だ。
難しいのは「儲ける」にはどうするのか。
「儲ける」には2つの方法がある。
プラスとマイナス。
プラスは、言わずもがな、新製品や新サービスを売り、売上を拡大させるのだ。
より多く利益を生む。
これはなかなか簡単にはできない。
システムを入れたからと言って、ヒット商品が作れるわけじゃない。
ではマイナスとは。
これはコスト削減である。
今までと同じ製品、サービスをもっと安く作る。
無駄を省くとか、今までやっていた仕事をやめるとか。
こちらは、システムが得意とする部分だ。
手作業をシステムで自動化するとか、場所を移動しなくてはならなかった作業がどこでもできるようになるとか。
主に人件費を削る。
だから、システム導入効果は、コスト削減額で効果を計画することが多くなりがちである。
「3千万円のシステム導入で、無駄な作業が何割減り、人件費が5千万円減るから、システムを入れたほうが良い」みたいな話。
人件費が減る。
これはすなわちリストラである。
ある社員が一日7時間かけた仕事が5時間になったところで、給料が減りはしないので、たいしてコストは減らない。
部門内の社員を1人減らすことができる。
派遣、バイトを10人減らすことができる。
これは具体的に給料支払い分の人件費が減る。
実際にはこんな単純な話ではないけれど、情報システムを入れて期待する効果は、明るい話ばかりではなく、暗い話も多いのである。
ロボットなんかより仕事を奪ってきた情報システム
ロボット技術が急速に発達してきて、人間の仕事を奪うという話がある。
しかし、情報システムはもう何十年も前から仕事を奪ってきた。
システムが入って便利で効率が良くなるほど、不要になる人間は増えていくのだ。
私がSEの頃。
クライアント内に、毎日、束で印刷された紙帳票を各チームに振り分けていく仕事をしているオジサマがいた。
私たちが作ったシステムは、電子的に振り分けをして、各チームに瞬時に振り分けする機能を備えていた。
振り分けは単純なものではなく、複雑に条件を判断して決めるもので、それなりにシステム化は難易度が高く、完成を迎えた私は手応えを感じていた。
意気揚々とシステム導入の説明に行ったら、私の前にそのオジサマが来て、「俺はあと数年で退職だと言うのに、あなたのシステムのせいで、仕事がなくなった。どうしてくれるんだ」と言ってきた。
「あぁそうか。私は、誰かが大切にしてきた仕事を時には奪うものを作っているのだ」と、そのときに実感した。
奪われた人間のケアもセットに
コンサルタントになり、企業と戦略を練る機会も増えた。
「何人減っていくらか効果があるからシステムを入れましょう」と言うだけでは、仕事を奪われて悲しい人が残ってしまう。
不要になった方は何ができるか。
その経験を活用して、新しいサービスや担当をすることで、プラスの効果を生み出せないのか。
マイナスは削るだけ。
プラスは生み出す。
導入効果の話をする度に、まだあの帳票オジサマの言葉が頭に響く。
「俺はどうしたらいいんだ。」
コンサルタントとして、頭を使うのはそこだ。
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映像作家コジロウ
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