考慮漏れやミスは発生するから、『仕方がない』のか。


システム・ソフトウェア開発プロジェクトの管理論。

人は、必ずミスをするし、考慮漏れを起こす
これは避けられない。

しかし、これをどう扱うかは切り替えながら問題には対処しなくてはならない。

計画時は、ミスや漏れは「仕方無くない」
ので、それを徹底的に潰して防止する。
これ【計画時】の考え方。

計画の実行時は、起きたミスや漏れは「仕方がない」ので、起きたこと自体を責めすぎず、「ではどう対処すべきか」を考える。
これ【実行時】の考え方。

このような計画と実行での考え方の切り替えを、プロジェクトマネージャーは元より、プロジェクトメンバー全員がしなくてはならない。

しかし、私が見てきたプロジェクト管理の現場では、この履き違えがしばしば見られる。


1.計画時の手抜き
 :「仕方がない」と扱ってしまう事例
例えば、計画時に「しょうがない」としてしまう事例。

まだやってもいない作業に対して「結局、ミスや漏れは起きるよね。だから、やる前にしっかり考え抜いても無意味だよね」としてしまい、考え抜いて事前に対策しておく事を手抜きする。

「バグを全部発見しろなんて無理ですよ!」なんて発言し、考え抜いてパターン網羅することを手抜きする。

「そんなレアなパターンは起きないから、考えるだけ無駄ですよ。大げさ。」と発言し、あらゆるリスクを考えておく事を手抜きする。

計画段階で、ミスや漏れをしょうがないと扱うのは手抜きである。

 

2.実行時の過度な糾弾 :「仕方無くない」と扱いってしまう事例
次の間違った例えは、実行段階になってから、計画時の考え方が切り替えられてないタイプ。

考え抜いても、ミスや漏れは起きる。実行してからミスの発生、考慮漏れに気づいた時は、早々と受け入れることが必要。

しかし、「なんでミスを起こしたんだ!ダメだと言ったろう」とか「あらゆるパターンを網羅してテストしたと言いましたよね。なんでパターン漏れするんですか!」と言うように糾弾しすぎてしまうと、過度は良くない。

糾弾が過度な組織は、課題が起きたときに報告が上がりにくいプロジェクトの雰囲気を産んでしまう。

実行段階では発生経緯が分かった段階で、起きてしまったことに対する糾弾は早々と終えるべき。

起きたことの解決と水平展開(同じ原因の他のミスはないか?)、再発防止(二度と起こさないような仕組み作り)の検討のほうがよほど建設的である。

 

3.切り替えの留意点
計画と実行での切り替えは、頻繁に意識してやらなければならない。

プロジェクトをしていく中で、「今は計画する作業しか起きない」「今は実行段階の作業しか起きない」という状況なんてない。

日々、計画段階の作業と実行段階の作業が並行して混在し、同じタイミングで計画と実行を処理しているからだ。

だから、今扱っている話題の作業が、計画段階なのか実行段階なのかを自分の中で定義し、前述の「仕方が無い」のか、「仕方無くないか」を、切り替えて明示的にしなくてはならない。

テスト計画をしながら設計を実行しているとか、テストを実行しながら移行を計画しているとか。

こういうときに計画と実行を履き違えやすいので、留意が重要。

移行計画のレビューでミスや漏れの防止を徹底的に潰して行く議論を重ねた直後に、実行段階のテストでの計画漏れ報告を受けると、「なんで漏れを起こしたんだ!」と計画時の考え方で接してしまいやすい。

だから、複数人のメンバーで様々な検討や報告をする際には、「これは計画段階だから、ミスや漏れを防止することを徹底的に議論しましょう。」とか「これは実行段階のタスクだから、起きたことを責めすぎるのは止めて、経緯さえ分かれば、対策を考える議論にしましょう。」と認識を一致させて進めるのが良いと思う。

 

【計画は慎重に、実行は大胆に】
【事前の一策は、事後の百策に勝る】
こういった格言的なものと近しい話だと考える。

人はミスや考慮漏れを必ず起こす。
計画段階では仕方ないことと扱わず、考えることの手抜きをしない。
実行段階では仕方ないことと扱い、責めすぎない「発生課題を報告しやすいプロジェクト」作りを心掛ける。

人が起こすトラブルはプロジェクトには付きものである。
うまく付き合っていきたい。

 

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空撮映像作家コジロウ
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